本文へスキップ

整理整頓はモノづくりの始まり。当たり前をできるようになろう

仕事の舞台裏

Closerに入って最初に驚くことのひとつが、先輩から言われる第一声かもしれません。「まず、机を片付けよう」。ロボットの会社なので、もっと華やかな話から始まると思っていた人ほど、ここで肩透かしを食らいます。

でもこれは、精神論でも新人研修の通過儀礼でもありません。ロボットづくりにおいて、整理整頓はれっきとした技術的な要件です。今日はその理由を、現場の目線でお話しします。

ねじ1本を探す3分が、1日で1時間になる

1台のロボットは数百点の部品でできています。ねじ、ワッシャ、コネクタ、ケーブル、治具。組み立て中に「あれ、あのねじどこだっけ」が発生すると、手が止まります。1回3分だとしても、1日に20回起きれば1時間です。

その1時間は、設計にも検証にも使われていません。探す時間はゼロにできる唯一のムダで、しかも棚とラベルを整えるだけで消せます。やらない理由がない、というのが現場の共通認識です。

「昨日は動いたのに」をつくらない

ロボット開発でいちばん厄介なのは、再現しない不具合です。昨日は問題なく動いていたのに、今朝は途中で止まる。ソフトを疑い、機構を疑い、半日溶かしたあとに原因が判明します——ケーブルの取り回しが昨日と違っただけ、というオチです。

作業台の状態を毎回そろえておくと、この種の遠回りが減ります。環境が固定されていれば、変化した箇所は機体側だけに絞り込めるからです。整理整頓は、デバッグの前提条件でもあります。

片付いていない机の上では、何が変数で何が定数か分からない。だから切り分けができない。

安全な機械は、片付いた場所からしか生まれない

私たちがつくっているのは、柵の中で動く大型設備ではなく、人のとなりで動く協働ロボットです。足元にケーブルが這っている、通路に部材が積んである。そんな環境で動作確認をしていると、危険に対する感覚が鈍っていきます。

現場を片付けることと、安全な製品を設計することは地続きです。自分たちが危ない場所で開発している会社は、たぶんお客様の現場の危なさにも気づけません。

整理と整頓は、別の作業です

  • 整理——要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てる。試作の残骸をいつまでも置かない
  • 整頓——要るものを、誰でも取り出せる場所に置く。置き場所に名前をつける
  • 戻す——使ったら元の場所に返す。ここが抜けると、前の2つが1週間で無効になる

製造の世界では「5S」と呼ばれる考え方の入口です。標語として掲げるだけなら簡単ですが、続けるほうがずっと難しい。だから毎日言い合います。

設計にも同じ話がある

面白いのは、これが物理的な作業台だけの話ではないことです。命名が揃っていないコード、どれが最新か分からないCADデータ、更新されていない部品表。散らかった机とまったく同じ問題が、画面の中でも起きます。

「探す時間をゼロにする」「変数を減らす」という原則は、机でもリポジトリでも変わりません。整理整頓が得意な人は、だいたい設計も整っています。

よくある質問

神経質な人でないと務まりませんか?

いいえ。必要なのは几帳面さではなく、置き場所を決めて、それを守る仕組みです。人の性格に頼ると続かないので、ラベルと定位置で解決します。

忙しいときはどうしていますか?

忙しいときほど散らかり、散らかるほど遅くなります。そのため出荷前の追い込み時期こそ、終業前の片付けを省きません。急がば回れの実例です。

ロボットが片付けてくれないんですか?

いい質問です。いつかそうしたい、というのがまさに私たちの事業だったりします。

当たり前を、当たり前にやり切る

特別な技術より先に、当たり前のことをやり切れるかどうか。ここがものづくりの速さと品質を分けます。派手ではありませんが、Closerが新しいメンバーに最初に伝えることのひとつです。

この感覚に「わかる」と思った方とは、たぶん話が合います。ぜひカジュアル面談でお会いしましょう。散らかっていない開発フロアをお見せします。

投稿する投稿する

こちらもおすすめ