
なぜロボット産業は巨大市場なのに、ソフトウェア企業のようなスケール企業が生まれにくかったのか
ロボットの市場は大きい。人手不足は深刻で、自動化の必要性は誰も否定しません。それなのに、ソフトウェア企業のように短期間で大きくなるロボット企業は、あまり生まれてきませんでした。
なぜなのか。そして私たちがどこに勝ち筋を見ているのか。今日はその話を書きます。
1台売るたびに、仕事が増える
ソフトウェアは、一度つくったものを複製する費用がほぼゼロです。ユーザーが1万人になっても、コードを1万回書き直す必要はありません。
ロボットはそうはいきません。部品を調達し、組み立て、検査し、現場へ運び、そこのラインに合わせて調整する。売れるほど作業が増える構造が、拡大の速度に上限をつくってきました。
現場ごとに、条件が違いすぎる
もう一つの壁が、現場の多様さです。
- 扱うモノの大きさ・重さ・形が違う
- ラインの配置も、天井の高さも、通路の幅も違う
- 作業のやり方そのものが、会社ごとに違う
- そもそも図面が残っていない現場もある
この差を、これまでは人が現地でティーチングして埋めてきました。エンジニアが1〜2週間張り付いて、動きを教え込む。導入費用の多くは、機械ではなく人の時間だったわけです。
結果として何が起きたか
導入に時間と費用がかかるほど、買える会社は限られます。だから大きな工場にだけ入る高価な設備、という位置に落ち着きました。
供給側も、限られた台数を確実に納めるビジネスになります。1台ごとに個別対応するなら、台数を増やすほど人が要る。「たくさん売る」動機そのものが弱くなるのです。市場が大きいのにスケールしない、という奇妙な状態はこうして生まれました。
技術がなかったのではなく、事業の構造が拡大を許さなかった。
私たちの切り口:導入の手間そのものを削る
Closerが小型・低コストにこだわるのは、値段を下げたいからだけではありません。導入にかかる手間を減らせば、入れられる現場の数が桁で変わるからです。
- 積み付けのレイアウトを自動で生成する(人が教え込まない)
- 動作を自動で調整する(現場ごとの作り込みを減らす)
- AI画像認識で、形が一定でないものも扱う(治具に頼らない)
- 既存ラインにそのまま置ける大きさにする(工事を減らす)
やろうとしているのは、現場側でやっていた作業を製品側に寄せることです。ここが進むほど、1台あたりに必要な人の時間が減り、供給できる台数が増えます。
90年代のコンピューターと同じ転換
大型の産業用コンピューターがパソコンになったとき、何が起きたか。性能が上がったこと以上に、使い手が専門家から全員に変わったことが決定的でした。
ロボットでも同じ転換が起こると考えています。そのとき必要なのは、より高性能な一台ではなく、だれでも使える一台です。Closerという社名も、ここに由来しています。
よくある質問
結局、価格勝負になりませんか?
価格だけで戦うつもりはありません。同じ価格でも導入が簡単なら選ばれますし、導入が簡単なほど後から広げやすくなります。効いてくるのは総額と手間です。
汎用性を上げると、性能が落ちませんか?
そのトレードオフは確かにあります。だから対象を絞っています。あらゆる作業ではなく、パレタイジングと小袋の移載という数の多い作業から取りにいく方針です。
この見立てに面白さを感じたら
ここに書いたのは仮説です。正しいかどうかは、これから現場に入る台数が証明します。
構造の話にワクワクした方、あるいは「そこは違うのでは」と言いたくなった方。どちらも歓迎です。カジュアル面談でぜひ議論しましょう。

私たちと、世界中の現場を変えるロボットをつくりませんか?
肩書きや経歴よりも、現場とものづくりへの好奇心を大切にしています。まずはカジュアル面談で、気軽にお話ししましょう。



